神戸大学理学部地球惑星科学科(非線形科学分野)
〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
TEL: 078-803-5739
FAX: 078-803-5757
E-mail: tamiki@kobe-u.ac.jp
(一応の)時間割り
第0章 今、何故、化学反応論なのか
化学反応を、線形非平衡理論を越えて研究する立場を概観する。
第1章 遷移状態理論再論
従来、化学反応の標準理論と考えられてきた「遷移状態理論」の導出過程を、 その前提に焦点を当てながら再論する。
第2章 実験研究の概観
近年、レーザーを用いた実験研究の中で問われつつある、分子レベルの非平衡現象 について解説する。
第3章 理論研究の方向性
化学反応を分子レベルで非平衡な現象として研究する際、不可欠となる理論の一つが 力学系カオスである。ここでは、未だ未発達な高次元カオスの研究に関して、 どのような視点が必要なのかを議論する。
第4章 統計力学のフロンティアとしての化学反応論
化学反応論が非平衡現象の中でユニークなのは、「温度」概念の定義可能性など、 統計力学の成立そのものに関わる論点が、実験的な研究を含めて視野に入ってくる 点である。これは、従来、統計力学の基礎付けが、純然たる数理的な問題としてのみ 扱われてきた点と大きく異なる。このような観点から、これまで、平衡に近い現象と されてきた反応過程に対しても、分子レベルの非平衡性が無視し得ない可能性を 指摘したい。
参考文献
[1]化学反応の動力学とカオス、戸田幹人、物性研究、2000年9月号
[2]非平衡非定常ダイナミックスの解明 --- 新しい化学反応論を目指して --- 、 京大基研短期研究会報告、物性研究、1999年10月号