集中講義

  • 題名:化学反応の動力学とカオス
  • 講師:戸田幹人氏(奈良女子大学理学部物理科学科)
  • 場所:神戸大学理学部A棟4階大会議室南
  • 日時:平成13年1月24日(水)〜26日(金)
  • 連絡先:小松崎 民樹

    神戸大学理学部地球惑星科学科(非線形科学分野)
    〒657-8501 神戸市灘区六甲台町1-1
    TEL: 078-803-5739
    FAX: 078-803-5757
    E-mail: tamiki@kobe-u.ac.jp


    この集中講義は神戸大学自然科学研究科の授業の一環として行われますが、 部外者(院生に限らず研究者の方も)の参加を歓迎します。 遠方から集中講義を受けに来たい方は神戸大学宿泊施設「学而荘」、 1泊1700〜1900円 (素泊まり、朝食付は+400円)の部屋をこちらで予約できます。 (料金はご自身でお支払い下さい)全部で七部屋しかありませんので、 希望されても利用できない可能性がありますこと、 また場合によっては料金を前もって送金して貰いますのでその点ご了解下さい。 利用希望者は小松崎まで ご連絡下さい。

    (一応の)時間割り

    24日(水)

  • 午前10:30〜12:00
  • 午後13:30〜16:30

    25日(木)

  • 午前10:30〜12:00
  • 午後13:30〜16:30

    26日(金)

  • 午前10:30〜12:00

    化学反応論は、従来、遷移状態理論やクラマース理論に代表的な様に、 線形非平衡現象として扱われてきた。そのようなアプローチを越える研究の 必要性と可能性を、実験と理論の両面から議論する。

    第0章 今、何故、化学反応論なのか

    化学反応を、線形非平衡理論を越えて研究する立場を概観する。

    第1章 遷移状態理論再論

    従来、化学反応の標準理論と考えられてきた「遷移状態理論」の導出過程を、 その前提に焦点を当てながら再論する。

    第2章 実験研究の概観

    近年、レーザーを用いた実験研究の中で問われつつある、分子レベルの非平衡現象 について解説する。

    第3章 理論研究の方向性

    化学反応を分子レベルで非平衡な現象として研究する際、不可欠となる理論の一つが 力学系カオスである。ここでは、未だ未発達な高次元カオスの研究に関して、 どのような視点が必要なのかを議論する。

    第4章 統計力学のフロンティアとしての化学反応論

    化学反応論が非平衡現象の中でユニークなのは、「温度」概念の定義可能性など、 統計力学の成立そのものに関わる論点が、実験的な研究を含めて視野に入ってくる 点である。これは、従来、統計力学の基礎付けが、純然たる数理的な問題としてのみ 扱われてきた点と大きく異なる。このような観点から、これまで、平衡に近い現象と されてきた反応過程に対しても、分子レベルの非平衡性が無視し得ない可能性を 指摘したい。

    参考文献

    [1]化学反応の動力学とカオス、戸田幹人、物性研究、2000年9月号

    [2]非平衡非定常ダイナミックスの解明 --- 新しい化学反応論を目指して --- 、 京大基研短期研究会報告、物性研究、1999年10月号


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